SCORE CARDBACK NUMBER

「力任せ」から「読み」へ。山﨑武司、変身の秘密 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2007/06/14 00:44

「力任せ」から「読み」へ。山﨑武司、変身の秘密<Number Web>

 「この年で結果を出していると、いろいろいいことがありますね。この前も愛工大名電の先輩、工藤(公康)さんにほめてもらいましたよ」

 楽天・山﨑武司の頑張りに、拍手を贈る球界人は多い。5月27日の横浜戦では、両リーグ一番乗りとなる今季20本目の本塁打を打った。38歳のベテランが、好調楽天の躍進を支えている。

 ロッテの袴田英利バッテリーコーチは、「あのいかつい顔にごまかされている」と頭を抱えるが、山﨑は、気迫あふれる顔に気圧されて内角を突けない若手投手の外角球を待って、平然とホームランを量産しているのだ。

 中日時代の'96年、39本で本塁打王に輝いたことがある。当時と比べて山﨑は、「あの時は力任せに打ってたけど、今年のは技と読みで打ったホームラン」と胸をはる。

 '04年、オリックスから戦力外通告を受けた時は引退も考えたが、中日時代の先輩だった田尾安志・楽天前監督が拾ってくれた。持ち前の長打力にさらに磨きがかかったのは、野村克也が監督に就任してからだ。「野村ノート」から引き出される配球の読みは、面白いようにハマり、思い切りよくスイングできるようになった。だから、監督の前で「おかげでホームランが打てました」と平気で頭を下げる。監督も、「アイツは顔に似合わずいいヤツだ」と褒めるので、よくある監督とベテランの確執が生まれず、伸び伸びとバットを振れている。

「自分にとって一番いい監督は使ってくれる人」と言っていた山﨑にとって、使ってくれて、しかも打たせてくれる野村は最良の監督となる。「今年3位以内に入れなかったら辞める」と公言している野村に対して、「死ぬまで辞めさせない」と言うのは本心だろう。

 最近、愛車の黄色いフェラーリをオークションに出品した。今年は野球に打ち込んで、野村にもできなかった38歳の本塁打王に挑むという。

 楽天に来てから、球場入りする前によく仙台市内の小学校や中学校を訪問している山﨑。「ホームラン王になったらお祝いの会をやってくれるって、みんなが約束してくれたんですよ」と嬉しそうに語った。いま、心底野球を楽しんでいるようだ。

関連キーワード
山崎武司
東北楽天ゴールデンイーグルス

ページトップ