SCORE CARDBACK NUMBER

根性の男、山崎勝己が、城島健司の穴を埋める。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

posted2006/06/08 00:00

 5月21日のヤクルト対ソフトバンクは交流戦史上最長の5時間22分に及んだ。延長12回、試合を決めたのは山崎勝己の一打だった。'01年、ドラフト4位で入団。昨年はたった3試合しか出場していない。それがいまやソフトバンクの正捕手をうかがう存在となった。

 ソフトバンクは城島健司がマリナーズに移籍。今春のキャンプでは誰が穴を埋めるかに注目されたが、山崎の評価は、的場直樹、領健に続く3番手。王貞治監督もシーズン前は「的場は(城島がケガで欠場した)去年のプレーオフでしっかり仕事をしていたからね」と、的場のスタメンを心に決めていた。

 それでも練習で山崎は、大石友好バッテリーコーチが投げる球をひたむきに受け続けた。大石コーチはそんな姿を買っていた。「体ごと球の正面にぶつかっていく根性がいい」

 だが、山崎が評価されたのは、捕球や送球ではなく、今季のソフトバンクが最も必要としていた打撃力である。オープン戦、3割3分3厘の成績で開幕一軍を獲得。交流戦初戦の広島戦でも結果を出した。相手は、昨年2敗を喫しているエース・黒田博樹。新垣渚との息詰まる投手戦のなか、山崎の犠牲フライが先制点を叩き出す。直前にファールチップを受けて、前歯を3本折りながら放った一打は、王監督に「あれで顔を売ったんだから、少々傷がついても痛くないだろ」と言わせたファイトあふれるプレーだった。

 先発マスクの数は的場を抜き、“第3の男”から正捕手に定着しつつある。気迫を前面に出す山崎に、王監督も何かと言葉をかけている。山崎は「毎日毎日が緊張の連続。最初は王監督にも何を言われたのか覚えていなかったけど、いまは少し理解できるようになりました」と言うが、チーム内でも「何かやってくれる男」として信頼を得始めている。

 キャンプの時、「城島さんの背番号2を付けても恥ずかしくないキャッチャーになりたい」と抱負を語った山崎。王監督も「今のひたむきさが続く限り、これからも成長するだろう」と期待をかける。イチロー(マリナーズ)、中村紀洋(オリックス)、石井弘寿(ヤクルト)と、高卒ドラフト4位は出世するというジンクスもある。「家貧しくして孝子顕わる」という言葉が現実となりつつある。

関連キーワード
山崎勝己
城島健司
福岡ソフトバンクホークス

ページトップ