NumberEYESBACK NUMBER

日本は世界水泳でメダルラッシュを狙う。 

text by

松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

PROFILE

photograph by

posted2007/03/22 00:00

 順調そのもの。

 3月3、4日、東京・辰巳で行なわれた日本短水路選手権には、世界水泳の日本代表選手たちも参加した。彼らの泳ぎは、約20日後に迫った競泳種目の世界水泳開幕に向けて、そう感じさせる出来だった。

 今大会におけるナショナルチーム首脳陣の狙いは、メルボルン世界水泳に向けて選手の状態を把握すること、大会を経験することでチームの士気を高めることにあった。

 例年なら、強化のために泳ぎこむ時期に開催された大会。実際、多くの選手は直前まで所属クラブでの国内外合宿でハードなトレーニングを積んでの出場。実際、疲労を蓄積している選手が多く、北島康介、中村礼子らを指導する平井伯昌コーチは、「正直、どうしてこのタイミングで大会があるんだろうと思っていました」と語っていた。低調な結果に終わるとの予想もあった。

 ところが開幕すると、よい方に予想は裏切られた。

 初日、200mバタフライで中西悠子が世界記録にあと0秒17と迫る日本新記録で優勝すると、柴田亜衣は自由形800mで日本新記録達成。

 2日目には、中村礼子が背泳ぎ100mで、北島康介が平泳ぎ50、200mで日本新記録。

 「これで自信を持って世界水泳に臨める。大会ですが、すごくいい練習になりました」

 と北島は顔をほころばせた。

 彼ら実力者たちを中心に、終わってみれば日本新記録19個と記録ラッシュに沸いたが、疲労をかかえる中で好記録をマークできたことには大きな意味がある。海外のトップに位置する選手たちは、調子が十分でない中でもそれなりの結果を出す力がある。日本の選手たちにも、勝負すべきレースに集中し実力を出す力がついていることの証明になるからだ。

 出場した背泳ぎ3種目すべてで日本新記録を出した森田智己も、「状態が良くない中でベスト記録を出せたということは、自分に力がついてきて、レースでちゃんと出せるようになってきたということだと思います」と自信を深めていた。

 上野広治監督は、「予想以上の出来で喜ばしいです。いつも以上に重要となるメルボルンでは、前回(モントリオール世界水泳)を上回るメダルをぜひとも獲得したい」と語った。

 それだけ今回の世界水泳を重視するのは、来年の北京五輪をにらんでのことだ。

 五輪前年の世界水泳は、海外もひときわ本気で取り組んでくる。そして競泳は、タイムで順位が決まるとはいえ、実は競り合いの要素も大きい。つまりメンタルも大きな割合を占める。海外の選手たちに「日本強し」を示しておけば、いざ五輪のレースでも、心理的な圧力をかけることにつながる。実際、'04年アテネ五輪での空前のメダル獲得(金3、銀1、銅4)は、その前年のバルセロナ世界水泳での健闘が大きかった。それだけに、世界水泳での成績が北京五輪での予想図となるのだ。

 アテネ五輪でも活躍した選手らがさらに充実した状態で世界水泳に挑むことができるのは来年を占う上でも心強い。

 さらに望まれるのは、北京以降の担い手となってくれる若手の世界水泳での台頭である。現在第一線で活躍する選手の多くは、北京を集大成と考えているからである。

 世界水泳は、北京五輪、そしてそれ以降の日本競泳界を見据える意味をもつだけに、好成績を期待したい。

ページトップ