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カーワンジャパン前進も、
禁じ得ない閉塞感。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byShinsuke Ida

posted2008/07/24 00:00

 「チーム全体の成長を感じました」

 7月7日、成田空港に降り立った日本代表の箕内拓郎主将は言った。サモアで行われたパシフィック・ネーションズ杯(PNC)最終戦から27時間。試合中、相手選手にタックルした際に味方選手の指が目に入り、眼球を傷めるアクシデントで退場した箕内は、成田に着いたときも、右目を赤く腫らしたままだった。

 だが、主将の予期せぬ離脱は、チームの底上げを証明してもくれた。箕内が退場した前半34分のスコアは10対17。そこから日本はFBロビンスのトライ(SOアレジG)で同点に追いついて折り返し、後半も一時12点差をつけられながらWTB小野澤宏時、箕内と代わったFL菊谷崇のトライなどで31対32の1点差まで追撃。最終的には31対37で敗れたが、主将離脱という非常事態の中で4トライ以上+7点差以内負けのボーナス点2を確保。1勝4敗で並んだトンガを勝ち点で1上回り、昨季の6位から5位へ順位を上げたのだ。

 「最後は絶対勝てると信じてましたよ」。眼帯を当て、ベンチで応援していた箕内は振り返る。

 「去年のW杯から強化を継続してきた成果でしょう。フィジーやサモアなどの相手に、ここ数年で最も接近した戦いができた。2年後が楽しみなチームです。そのとき僕がいるかどうかは別だけど(笑)」

 4年前の屈辱を知る箕内が発した言葉には重みがあった。豪州W杯翌年の'04年、日本代表は大幅な若返りを図った結果、スコットランドに8対100、ウェールズに0対98という歴史的大敗を喫した。そんな過去に比べれば、昨年のW杯までに鍛え上げた接点の粘り強さに得点力を加えた今春の足取りは、着実な前進だ。

 だがそんな内実は、コアなラグビーファンにしか伝わっていないのが実情。北京五輪を前に、一般メディアがラグビー情報に割くスペースは多くない。宣伝も控えめ。そして微妙な要素がもうひとつ……。

 「このまま行くと、外国人は何人まで増えちゃうんでしょうね」

 某トップリーグ関係者が漏らした呟きである。サモア戦ではFWにトンプソンとマキリ、BKにアレジ、ニコラス、ロアマヌ、ロビンスと6人の外国人選手が並んだ。FBウェブも前日までは先発予定だった。彼ら個々の能力の高さに異論はない。献身的な姿勢にも深く敬意を抱く。IRBの資格規定も満たしている。しかし、代表チームの半数を外国人選手が占める事態には「そもそもナショナルチームって何?」と“そもそも論”まで頭をよぎってしまう。

 「将来的には、日本代表は日本人選手だけで戦いたいとJKは言っています。ただ、短期的にも結果を出すには、日本人選手の層が薄いポジションでは、外国人選手の力も必要」

 太田治GMは言葉を選んで話した。

 それが現実だ、と理解はするが、その一方で、そうまでして求めた割には結果自体もインパクトに欠けた……という閉塞感も禁じ得ない。排他主義に走る気は毛頭ないが、ジャパンは、日本で楕円球を追うすべての選手の代表であってほしい。IRBが目指す五輪種目採用が実現すれば、外国人助っ人の力を借りることなど絵空事になる。

 「日本人選手に足りないのはゲームマネジメント力。外国の選手と比べると、経験値が圧倒的に足りないんです。トップリーグ、大学生も含めて、タイトな試合が増えるよう国内試合の仕組みを変えていかないと」

 太田GMの言葉が実行に移されなければ、日本代表の未来は暗い。

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