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2年目を迎える交流戦、“強い巨人”の真贋に注目。 

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鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

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posted2006/05/25 00:00

 プロ野球のセパ交流戦が始まった。球界再編の波の中で、人気回復へのカンフル剤として昨年から導入された新システム、1年目は様々な明暗を分ける結果となった。

 ペナントレースでは両リーグともに、この交流戦が優勝の行方に大きな影響を及ぼした。

 パ・リーグでは24勝11敗1分で交流戦の初代チャンピオンに輝いたロッテが、その勢いのままにプレーオフから日本シリーズを制して、一気に日本一の座まで駆け上がった。

 一方のセ・リーグは、より以上に、はっきりと明暗が分かれてしまった。ペナント序盤で貯金11と好スタートを切った中日が、交流戦では15勝21敗と6つの負け越し。反対に阪神は交流戦で21勝13敗2分と3位の成績を収めリーグ首位に躍り出ると、そのまま2年ぶりの優勝を飾ることとなった。

 そういう意味では、今年の交流戦の注目はやはり久々にペナントレースで好スタートを切った巨人の戦いぶりではないだろうか。

 交流戦突入までの32試合を21勝9敗2分の貯金12でセ・リーグの首位を走ってきた。この好調をどう持続して戦い抜き、交流戦後のペナントレースへと結びつけていくのか。

 そんな巨人でキーマンとなりそうなのが、昨年までソフトバンクの投手陣を仕切っていた尾花投手コーチの存在だ。昨年も優勝した千葉ロッテが2.66、2位のソフトバンクが2.92と2点台の防御率をマーク。その一方でここから歯車が狂ってしまった中日は12球団で下から2番目の防御率4.74と、初顔合わせのカードが続く交流戦では、投手の出来、不出来がチームの勝敗に直接的に結びついている。

 今季の巨人は開幕から先発とリリーフがきちっと機能。交流戦開始時で昨年のチーム防御率4.80から3.54(阪神、広島に次いでリーグ3位・5月8日現在)と大幅に失点を減らしたことが躍進の原動力となっている。

 その陰にはもちろん若手の内海の台頭、久保、林、豊田のリリーフ陣の確立などの要素も大きい。それと同時にもう一つ見逃せないのが、尾花投手コーチのデータ分析による投手の配球チャートの変化だった。もちろん各チームともに、この交流戦に向けて相手リーグのデータ収集、分析には万全を期している。ただ、画一的な数字の羅列だけならどのチームも同じ結果となるはずだが、そこに違いを生むのが実際に対戦して得た生の感覚を、どうデータに反映させるか。その点では昨年までソフトバンクで投手陣を指導し、パ・リーグ各球団の主力打者の特徴を熟知する同投手コーチは、巨人の投手陣にとっては心強い存在となる。また“データマニア”といわれる同コーチの独自データの存在も、この交流戦ではより一層、効果を発揮しそうだ。

 観客動員という側面から見れば1年目はセ・リーグの横浜、ヤクルトなどが苦戦を強いられたが、パ・リーグは満員の試合も出て成功。話題、ファンの反応などを評価すれば、交流戦は一定の役割を果たした。

 サッカーのW杯開催の真っ只中で行われる2年目。昨年はその観客動員の原動力となったのが阪神戦だったが、今年はその阪神に“強い巨人”が加わって本当に球界を活性化させることができるのか。

 W杯中にどれだけ球場にファンの足を向けさせ、その後につなげていけるか。営業面からも交流戦は、2年目の正念場を迎えることになる。

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