NumberEYESBACK NUMBER

今季J1も激動必至。赤い悪魔が鍵を握る。 

text by

島崎英純

島崎英純Hidezumi Shimazaki

PROFILE

photograph byAtsushi Kondo

posted2009/03/12 04:24

今季J1も激動必至。赤い悪魔が鍵を握る。<Number Web> photograph by Atsushi Kondo

 鹿島アントラーズの連覇で幕を閉じた'08年シーズンのJリーグ。しかしクラブ間の実力差が拮抗する日本サッカーの現状を反映するように、'09年シーズンのJリーグも群雄割拠の様相を呈している。

 ACL制覇を果たしたガンバ大阪は今季もチョ・ジェジン、レアンドロらの実績ある外国籍FW、日本代表にも選出された若手DFの高木和道らの即戦力を獲得して万全の体制を整えた。

 またドラガン・ストイコビッチ率いる名古屋グランパスや、クラブ史上初タイトルを獲得したナビスコカップ王者の大分トリニータなども昨季携えた自信を基盤に初戴冠の気概に満ち溢れている。一方で、1年でJ1への返り咲きを果たしたサンフレッチェ広島、初のトップカテゴリー参戦となるモンテディオ山形の奮起にも、期待したいところだ。

 なかでも注目は、リーグ屈指の選手層を誇りながら7位に甘んじた浦和レッズの動向である。近年、精力的な大型補強を敢行して戦力を整えて常勝の地位を築き上げたかに見えた浦和レッズは昨季、完全に失速。今、変革の時を迎えている。

 昨季の浦和はクラブのビジョンが不明瞭だったことが凋落を招いた。リーグ開幕からわずか2戦でホルガー・オジェック監督を解任。後任にヘッドコーチを務めていたゲルト・エンゲルスが就いたが事態は好転せず、リーグ戦で低迷し、ACLを含むカップ戦にも敗れ、'02年シーズン以来6年ぶりの無冠に終わった。

 クラブは昨季の反省を踏まえて改革に着手した。まず現場とフロントのパイプ役となる強化部門を刷新。元横浜FC監督の信藤健仁氏をチームダイレクターに据え、2年契約を結んでいたエンゲルス監督を昨季限りで解任し、新たにフォルカー・フィンケを招聘した。

 今季の浦和は例年のような大型補強を行わず、ほぼ現有戦力で臨むことが決まっている。またフィンケ監督は若手有望選手の登用に積極的な姿勢を見せており、人材育成によってチーム強化を進める心積もりがあることを公言している。

 そもそも近年の浦和はトップチームの構築こそ現場のコーチングスタッフ主導だったものの、ユース組織などの育成面はクラブを司るフロント主導で積極的かつ効果的な体制作りを進めている。

 主力が20代後半に差し掛かっている浦和にとって、世代交代のタイミングはチーム強化の分水嶺となるだけに、クラブは新監督のチームコーディネイト力にも期待を寄せている。実際、フィンケ監督はシーズン前のキャンプの練習試合でユース出身の原口元気、林勇介ら若手選手を試し、セレクションを行っている。

 今季、新キャプテンに就任した鈴木啓太が意気込みを語る。

 「昨シーズンは確かに良い結果ではなかったと思う。ただ、もう過去は振り返りたくないんだよね。今季は、昨季の挫折があったからこそクラブが良い方向に進んだと思われるようなシーズンにしたい。確かに環境が変わって'09年シーズンは新たなことにチャレンジする年になるけど、それも来年に向けての1年という位置付けにしないと。クラブにとって良い歴史を刻めるよう、新たなチームの伝統を、一つひとつ築き上げていきたい」

 長期的な視野の下、ニュースタイル確立を目指す浦和。再起をはかる赤い悪魔を軸として、戦国時代の新シーズンが始まる。

関連キーワード
フォルカー・フィンケ
浦和レッズ

ページトップ