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J1残留争い本格化。生き残るための条件とは。 

text by

猪狩真一

猪狩真一Shinichi Igari

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posted2007/09/20 00:00

 残りあと10節。J1の戦いもいよいよ終盤を迎え、下位チームにとっては胃が締めつけられるような、苦い残留争いの季節がやってきた。

 24節終了時の勝点を最下位の18位から挙げると、横浜FC=11、甲府=21、大宮=21、大分=25、千葉=28、広島=29、FC東京=29、神戸=29。ひとり大きく水をあけられ、新監督と大量の補強選手を迎えてゼロから仕切り直しとなった横浜FCは既に降格が濃厚だが、先が読めないのは、残留圏内の15位以上を目指す甲府、大宮、大分の争いだ。

 おかしな表現だが、今季の残留争いは相当レベルが高い。順位は下位であっても、戦術面の統一感は失なわれず、選手たちのベクトルが揃って、目指しているスタイルが明確に表現できているというチームが多いのだ。

 まずは甲府。彼らは今季、狭い局面でのショートパスのつなぎに執拗にこだわってきた。だが、現在の順位は、そのサッカーがハイリスク・ローリターンの状態に傾いていることを示している。選手間の距離を詰めるための高いラインと局地戦でのパス交換は、パスカットからのカウンターを受けやすく、サイドチェンジやロングボールの少なさは、相手の守備の的を絞りやすくしている。

 今後のポイントはやはり、どれだけ失点を減らせるかよりも、どれだけ点を取れるかだろう。攻め切ってゴールを奪い、流れを味方にできれば、守備のバランスも崩れにくくなる。例えばこれまで1−3で敗れていたようなゲームを、3−2や3−1の勝利に変えられるかどうか。実際、ポストワーカーとして計算できる大型FWラドンチッチの加入後、攻撃の縦へのスピードは増しており、彼がゴールを陥れる仕事ができてくれば、可能性は見えてくる。

 大宮は、中断前の24節で首位・浦和を破る金星を挙げた。ロバートから佐久間悟(強化・育成部長からスライド)へという監督交代があったが、これはチームのベースを築いた三浦俊也時代への回帰と言ってもよく、戦術的な混乱はない。選手間・ライン間の距離を緻密にコントロールして網を張る堅い守備は健在だ。

 課題はやはり得点力。24試合で16得点はリーグ最少で、0−0、1−1のドローは実に8試合に及ぶ。浦和戦の1−0という勝ち方が現状ではベストだろうが、完封し続けることは難しい。突破力とキープ力に長けた新加入FWデニス・マルケスの能力を活かし、いまの守備意識を保ったまま2−0、2−1のゲームができるようになるのが理想だ。

 大分は、中盤にハードワーカーのエジミウソンを呼び戻し、快足のサイドアタッカー鈴木慎吾を補強したことで、堅守速攻のスタイルがより明確になった。悪い流れに飲み込まれたまま大敗を喫するゲームも多いが、大敗が後を引かないのは、自分たちのスタイルに迷いがないからだろう。ただ、浦和、G大阪、鹿島、新潟、川崎といった上位陣とのアウェー戦をごっそり残しており、思うように勝点を稼げない可能性も高い。

 もちろん、千葉、広島、FC東京、神戸にも降格の可能性は十分に残っている。だが、直近のゲームを見る限り、今後大きく失速しそうなチームは見当たらない。降格圏内16位との間にある勝点差7〜8は、彼らにとっては小さくないリードになるはずだ。中心となるのはやはり、甲府、大宮、大分の3チームだろう。いずれも“壊れた”チームではないだけに、内容的にも見応えのある、熾烈な残留争いとなりそうだ。

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