NumberEYESBACK NUMBER

トヨタ・クラブW杯初制覇へ。
バルサに吹く「追い風」とは。 

text by

横井伸幸

横井伸幸Nobuyuki Yokoi

PROFILE

photograph byMutsu Kawamori

posted2009/12/12 08:00

'09年のバロンドールに選ばれたメッシ。アブダビでも輝けるか

'09年のバロンドールに選ばれたメッシ。アブダビでも輝けるか

 TOYOTAプレゼンツFIFAクラブワールドカップといえば実質的な前身であるトヨタカップの伝統も手伝って、12月の風物詩になりつつあるイベント。それが今年は舞台をUAEのアブダビに移して行なわれる。アジアの王位から転落し、開催国枠をも失った日本からは3年ぶりに出場チームゼロ。

 日本のファンには、残念な結果かもしれないが、追い風を受けた欧州王者バルセロナが本気で世界制覇を狙っていることを考えると、今大会を見逃すことはできない。

移動時間が短いアブダビでの開催はバルサにとって追い風だ。

 まず、追い風というのは開催国変更による“時間短縮”だ。2006年大会で来日したバルサは移動疲れとひどい時差ボケに悩まされていた。しかし今回のフライトは日本行きより6時間ほど短く、時差も日本ならば8時間あるところが3時間まで縮む。これなら3年前、目眩と足の重さを訴えていたMFシャビも軽快に動けるはずだ。

 アブダビ開催はバルサと対戦する可能性のある北中米カリブ海王者アトランテや南米王者エストゥディアンテスなどにも同様にプラスとなるだろう。だが、これら地域のチームは例年余裕をもって現地入りする。一方、シーズン真っ只中の欧州組は常にぎりぎり。今回、一番の恩恵を被るのがバルサであるのは間違いない。

目標はタイトル獲得率100%! バルサのモチベーションは高い。

 次に、本気度である。監督のグアルディオラは約1年7カ月ぶりに試合出場許可が下りたばかりのCBミリートをも遠征メンバーに加え、総力をもって頂点を目指す意志を明らかにしている。“世界一”は先日110歳の誕生日を迎えたバルサの歴史に唯一欠けているタイトルだからだ。

「'06年のときも絶対に獲るつもりでいた。そのせいで、悔しい思いはいまも残っている」

 こう語るのは主将のCBプジョル。

「ここまでたどり着くのは本当に大変だった。チャンスというのは、逃していたら意味がない」

 GKバルデスも意気盛んだ。

「トヨタ・クラブW杯、俺たちは全力で獲りに行くよ。3年前はミスを犯した。あんなこと、二度とごめんだ。それに、これは特別なタイトル。バルサがまだ手にしたことのないものだし、獲れば'09年を完璧な年にすることができる」

 そう、それもまたバルサのモチベーションの源である。この夏、国内と欧州2つのスーパーカップを制した“ペップチーム”は昨年夏の始動以来、競ったタイトル全てを手に入れてきた。アブダビでも優勝すれば、タイトル獲得率100%で今年を終えることができる。さらに、現在の主要国際タイトルが整備されて以来、1年で6冠獲得は新記録。'72年に5冠王となったアヤックスを越え、世界のサッカー史に名を刻むことになる。これに燃えない選手はいない。

「チャンピオンズリーグと同じ気持ちでプレーする。クラブにも監督にもそう求められてるしね」

 宣言するのはCBのマルケスだ。

<次ページに続く>

► 【次ページ】  3年前の屈辱を晴らし、バルサ悲願の初制覇はなるか。

1 2 NEXT
1/2ページ

ページトップ