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大晦日に“大連立”する日本の格闘技界。 

text by

布施鋼治

布施鋼治Koji Fuse

PROFILE

posted2007/12/13 00:00

 対立から連立へ。日本の格闘技界に新しい風が吹き始めた。先日、旧PRIDEスタッフが中心となって立ち上げた『やれんのか!大晦日!2007』(12月31日・埼玉)の開催が発表されたが、このイベントをK−1やHERO'Sを主催するFEGが共催することになったのだ。

 11月28日に行なわれた『やれんのか!』の記者会見には、FEGの谷川貞治イベントプロデューサーも出席して、「このままでは日本の総合格闘技が衰退するだけ」と旧PRIDEとの大連立を訴えた。

 その第一弾として発表されたのは青木真也vs.JZカルバン。青木がPRIDE中量級を代表する奇想天外なグラップラーなら、カルバンはHERO'Sミドル級世界王者決定トーナメントでV2を果たしている立ってよし寝てよしのオールラウンドファイターだ。事実上、PRIDEvs.HERO'Sの70kg級頂上対決といっても過言ではない。

 ここ数年、格闘技界はFEGとPRIDEをプロモートするDSEが激しい興行合戦を繰り広げていた。その最たるものが、大晦日恒例になりつつあったK−1とHERO'Sの複合イベント『Dynamite!!』とPRIDEのオールスター戦『男祭り』の視聴率戦争だろう。

 紅白歌合戦の勝敗とは比べものにならないほどシビアな足の引っ張り合いは、一般大衆の格好の興味の対象になった。しかし国内で両団体が激しく鎬を削っているうちに、アメリカではUFCが着実に勢力を拡大していった。

 果たして'07年を迎えると、総合の勢力図は一変する。その拠点は日本からアメリカ、PRIDEからUFCへ。ミルコ・クロコップを皮切りに、アントニオ・ホドリゴ・ノゲイラ、ヴァンダレイ・シウバらPRIDEの主力はこぞってUFCに活路を求めた。

 わずか1年のうちに日本の総合がすっかり弱体化してしまったことは否定できない。そうした中で、国内で対立するのは、もはやナンセンス。『やれんのか!』の「ぜひ協力を」という呼びかけにFEGが応じたのは、日本の格闘技界全体に危機感を抱いていたからにほかならない。

 FEGと旧PRIDEが手を組めば、先の青木vs.カルバンを例に出すまでもなく、これまでは実現不可能だった夢の対決がいくらでも組める。例えば、件のヌルヌル事件から復帰したばかりの秋山成勲。谷川プロデューサーの思惑通りに吉田秀彦との柔道家対決が実現すれば、コアなファンだけではなく、一般大衆に対しても大きな話題を投げかけることができる。GRABAKAの三崎和雄との一戦が組まれたら、両団体の80kg台王者の対決となる。

 FEGだけではない。海外から強力な援軍も名乗りを挙げた。それは来年2月にアメリカで旗揚げする予定のM−1グローバル。本人の希望もあって、同団体と2年6試合契約を結んだ、元PRIDEヘビー級王者エメリヤーエンコ・ヒョードルの出場が決定したのだ。

 この流れに乗って『やれんのか!』でも統括本部長に就任した?田延彦はPRIDEライト級王者だった五味隆典も引っ張りだそうとしている。久しく明るい話題のなかった日本の総合だが、今回の連立によって往年の勢いをとり戻しつつある。

 願わくばTBSには『Dynamite!!』の放送枠で二元中継を実現させてほしい。その時、日本の総合格闘技はひとつになれるのだから。

 今年の大晦日は一味違う。

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