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北京を目指し真剣勝負、世界競泳のみどころ。 

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井本直歩子

井本直歩子Naoko Imoto

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posted2007/08/23 00:00

 実に5年ぶりに、日本で国際大会が開かれる。8月21日から24日まで習志野市で行われる「インターナショナルスイムミート2007」、通称“世界競泳2007イン・ジャパン”だ。3月に世界選手権があったというのに、「また世界競泳?」と疑問に思うかも知れないが、いつもなら夏に行われる世界選手権が、南半球のメルボルンで3月に開催され、五輪前年の夏にビッグ・イベントがなくなったため、日本が国際大会を招致したのだ。北京五輪のちょうど1年前という時期、北京から程近く、似たような気候というシミュレーションは世界の強豪たちからも歓迎され、今夏重要な大会となっている。

 今回の主役は来年の北京五輪でマーク・スピッツが持つ史上最多の7冠に挑む、マイケル・フェルプス(米国)であろう。3月のメルボルン世界選手権で世界新記録5つ、7冠の怪物は、今や「人類史上最高」との呼び声高い。彼が泳いだあとには、驚異的な歴史が生まれるのが常だ。いつもは多種目にエントリーし、その驚異的なスタミナを見せつける彼だが、種目を絞る今大会はどんな泳ぎを見せてくれるのか。

 メルボルンでは故障による練習不足で惨敗した豪・長距離界の王者、グラント・ハケットも「日本で良い記録を出して来年につなげたい」と意気軒昂。そのハケットを退け、400mの世界チャンピオンとなった韓国の新鋭、17歳のパク・テファンとの再戦は見どころの一つだ。他にも女子平泳ぎの世界記録保持者リーゼル・ジョーンズ、メルボルン世界選手権5冠、自由形とバタフライのリズベス・レントン(ともに豪州)ら実力者が多数来日する。

 日本からは、過去最多の50名が出場する。選手たちは、その戦い方によって主に3つのグループに分けられる。一つは、メルボルンでも安定した実力を発揮した“エース格”。北島康介はライバルのハンセン(米国)が不出場の中、来年に向けての心理戦でプレッシャーをかけたいところ。世界新を樹立すれば、五輪代表内定という特典もある。春先には「世界記録奪還を狙えるトレーニングができている」と話していたが、大会1カ月前に起こした左太ももの肉離れの回復具合がどうか。自由形長距離の柴田亜衣、背泳ぎの中村礼子もオティリア・イエジェイチャク(ポーランド)、カースティー・コベントリー(ジンバブエ)らのライバルに勝って自信を深めたいところだ。

 二つめは、3月に結果を残せなかった選手たちのグループ。メルボルンでは世界のレベルが一気に上がった種目が多いが、日本勢は水をあけられた形となった。背泳ぎの森田智己、伊藤華英、自由形の松田丈志、バタフライの中西悠子をはじめとする実力者たちは、来年のための自信をつけようと必死で取り組むだろう。世界選手権代表から漏れたが、日本選手権で好タイムを出した女子平泳ぎの田村菜々香、種田恵らも今大会で実力を発揮できれば、来年メダルが狙える位置にいる。

 そして世代交代を担う若手たち。'04年アテネ五輪以降、日本代表の顔ぶれはさしたる変化がない。北京以降を見据えた新鋭の台頭はもはや不可欠。特に背泳ぎの入江陵介、平泳ぎの立石諒の高3コンビ、16歳のバタフライの秋山夏希らの勢いは胸を躍らせる。

 水泳競技において、五輪前年の結果というのは非常に重要だ。水の流れはいきなりは変わらない。“背水の陣”で臨む日本競泳陣から、多くの日本新記録コールを期待したい。

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