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スノーボード代表選考 トリノへの険しき道。 

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久保田亜矢

久保田亜矢Aya Kubota

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posted2006/01/12 00:00

 12月10日、11日のカナダ・ウィスラーでのスノーボードW杯2連戦。日本のハーフパイプ陣は、10日の第4戦で女子が中島志保の優勝を筆頭に1〜5位を独占、男子も國母和宏が優勝。翌日の5戦でも女子は山岡聡子、男子は成田童夢が優勝するなどトリノへ向けて世界に強烈なアピールをした。

 この連戦は、五輪代表に内定してない選手にとっては残り少ない枠を確保するチャンス。内定選手にとっても調整が大詰めを迎える時期でもあり、代表メンバーに緊張感が漂う大会となった。

 そんな中、第4戦の中島は、ファイナルの2本目を高さのある技でしっかりメイクして優勝。滑り降りてきた目には、初優勝の嬉しさからか、五輪への出場を思い描いてか、涙が光っていた。

 一方で最近、着々と実力をつけている伏見知何子は、第4戦では4位、第5戦でも内定組の山岡を抑えて予選をトップで通過したが、ファイナルでは思うような滑りができず3位に終わった。山岡は2本共に安定した滑りで優勝を決めた。試合後に悔し涙を流していた伏見、内定を決めていた山岡との経験の差を感じていたのかもしれない。

 この時点で、女子の五輪出場枠は残り2。第4戦の1〜5位の独占は快挙だが、順位がひとつ違うだけで五輪に出場できるか否かの瀬戸際でもある。ここで誰かが優勝すれば、出場枠はほぼ確実に減ることになる。今まで一緒に戦ってきた仲間に本当に頑張って欲しいという気持ちと五輪への強い思い、そんな心中が選手達の姿に垣間見えてもいた。

 女子の山岡同様に内定組として貫禄を見せたのが男子の國母だった。第4戦の優勝はスイスでの第3戦に続くW杯2連勝。トリノでも大いに期待できる存在になったと言ってもいい。実はこの日、すでに内定を決めていた國母は、勝敗より、演技を楽しみたいという軽い気持ちで試合に臨んでいた。しかし、同学年の渡部耕大が公開練習中に膝の靱帯を損傷、試合では抑えて滑るようにコーチ陣から命じられてしまった。五輪内定をかけた大事な大会に全力で挑むことができなくなってしまったライバルの悔しい思いを聞いた國母は、勝負を挑むことを決意。結果、観客をうならせる素晴らしい演技で優勝を獲得したのだった。

 第5戦では村上史行と成田との激しい優勝争いが見られた。ファイナル1本目をトップで通過した村上は、2本目のメイクが決まらなかったものの、そのまま優勝すると思われた。ところが最後の最後にファイナル1本目での転倒というミスをパワーに変え、思い切った演技で挑んだ成田が村上を逆転して優勝。何としても五輪に出場したい成田にとって、ここでの勝利が出場内定を呼びこむこととなった。大パフォーマンスでその嬉しさを表現していた。村上は、僅か0.5ポイント差ながら2位に甘んじた。今大会では、日本選手の大活躍の裏に、幾つもの明暗が繰り広げられることとなった。

 トリノへ向けて、もう一人注目したいのが、成田とともに内定した中井孝治だ。今回は踵の故障もあって思うような演技ができず、結果を残せなかったが、ソルトレイク五輪では5位の実績がある。この時は、観客を沸かせる滑りだったもののジャッジに泣く結果だっただけに、五輪に賭ける思いは他の選手には負けないものがある。故障が癒えて本調子に戻ればトリノ本番でもメダル争いに絡んでくる可能性もある。

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