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ソフトバンク、中日はストップ高。いい練習、って一体なんだろう。 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

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posted2005/03/17 00:00

 連覇が難しいことは、明らかだ。最近10年のペナントレースを見ても、連覇はパのオリックス、西武、ダイエーの3チームだけで、セで連覇を果たしたチームはゼロ、日本シリーズで2年続けて勝てたチームは一つもない。

 そうとわかっていながら、この時期にキャンプを見て回ると、どうしても前年に勝ったチームがいい練習をしているように見えてしまう。勝ったから選手に自覚が芽生えていい練習をしているように見えるのか、それともいい練習をしているから勝てるのか―― この答は、永遠に解けることはない、キャンプにおける“コロンブスの卵”でもある。

 西武にプレーオフで敗れはしたが、今年のソフトバンクのキャンプは誰もが「いい練習だ」と口を揃えていた。メニューが実戦的であるとか、待ち時間が少なくて効率的だとか、全体練習の時間は短く自主練習の時間が長いとか、誉め言葉はいくらでも出てくる。実際、練習のムシとして知られる川崎宗則が球場を後にするのは陽が沈んでからだったし、レギュラーが遅くまで練習していることが若い選手の刺激になっていることは間違いない。これだけ強いチームにあって、毎年、クリーンアップを打つ主力が抜けていく。その穴を川崎が埋め、今年もチャンスが転がっているのだから、若手の目の色が変わるのも当然だろう。

 中日も凄まじい。こちらも練習が長いことで知られる福留孝介が、ある日の練習で球場を離れたのは、なんと19時13分。彼が取材陣に囲まれた頃、辺りはすっかり暗くなっており、明るいのが当たり前になっているキャンプのニュース映像にあっては異彩を放っていた。発表されているメニューによれば最後の練習は15時20分となっているのに、中日の野手が陽のあるうちにホテルに戻ることはほとんどなかったという。

 逆に、ロッテ、日本ハムの練習時間は極端に短い。ボビー・バレンタイン、トレイ・ヒルマンともにメジャー流の指揮官だけあって、14時にはほとんどのメニューを終えてしまう。ダラダラやっても仕方がない、全体練習はサッと終えて、あとはやりたい選手が自主的にやればいいという発想は、最近のトレンドにもなっていた。横浜を'98年に優勝に導いた権藤博元監督がその先駆けだっただろうか。以降、伊原春樹前監督の頃の西武や、今年の巨人もそういう流れに乗っている。しかしながら、極端に全体練習が短い今のロッテ、日本ハムの練習内容に対する不満の声は、なんとチームの中から聞こえてくるから驚きだ。これはいずれもチームの中堅クラスから聞いた話なのだが、曰く、勝ったこともないチームが短い時間の中で濃い練習をするといっても今の若手にはとても無理だというのである。早く終わることが当たり前になってしまうと、プロの練習はそんなものかと思う若手と自分のペースを知っているベテランの差が簡単に縮まるわけもなく、チームとしてのレベルアップなど図れるはずがないというわけだ。

 一方で自主性を大事にといいながら、いざ自主性に任せたメニューを組めば練習が少なすぎるといわれる。子ども扱いをするにはプライドが高すぎる選手が多い反面、大人扱いをするには自覚のある選手がまだまだ少ない。練習の短いチームが勝てばそれがもてはやされ、長い練習をしてきたチームが勝てば、やはり練習量が大事だといわれる。結局、練習方針が監督次第でコロコロ変わってしまうキャンプでは、それも仕方がないことなのかもしれない。

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