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蹴球シーズン到来告げる、
鹿島対ガンバ、因縁対決。
~J王者対天皇杯覇者の行方は~ 

text by

佐藤俊

佐藤俊Shun Sato

PROFILE

photograph byToshiya Kondo

posted2010/02/26 06:00

W杯イヤーのJリーグを占うにふさわしい好カードが実現した

W杯イヤーのJリーグを占うにふさわしい好カードが実現した

 2月27日、Jリーグ王者・鹿島アントラーズと天皇杯覇者・ガンバ大阪が激突する富士ゼロックス・スーパーカップが開催される。

 今年は、2年連続同一カードとなった。昨年は、鹿島がガンバを3-0と圧倒し、そのままJリーグ開幕から勢いに乗り、一時低迷したものの、最終的にJリーグ3連覇の偉業を達成した。

 ガンバは、惨敗したゼロックス・ショックから立ち直って直後のJリーグ開幕戦こそ勝利で飾ったものの、なかなか波に乗り切れなかった。シーズン終盤、鹿島に勝てば首位という大一番で1-5と大敗を喫し、優勝を逃した。試合後、山口智は「チーム力の差以上に、伝統の差を感じた」と神妙に語り、畏怖さえ覚えたことを吐露した。ガンバは、“伝統”という目に見えない大きな力を初めて思い知らされたのである。

 鹿島は、献身、誠実、尊重というジーコ・スピリットを重んじ、勝利を重ね、歴史を塗り替えることで伝統という力を磨き上げてきた。ジーコが作った鹿島イズムは、歴代のブラジル人監督を始め、現在のオリヴェイラ監督にもしっかりと継承されている。だからこそチームは方向性を見失うことなく、安定した強さを発揮し、ここぞという時には底力を見せて乗り切ってきた。鹿島イズムが伝統のベースとなり、それがチームの支えになっているのだ。

 山口が恐さを感じたのは、彼らが築き上げてきたチームへの揺るぎない自信と、ファミリーと称されるチームの根底にある野太い幹のような一体感だ。大一番になると、そうした拠り所のあるチームは強い。山口は、それを身を以て味わった。

全タイトルを獲得したガンバに足りないのは“伝統”の自信。

 ガンバにとって“伝統”は、唯一欠如しているパーツだ。2002年、西野朗監督の就任以来、ガンバはリーグ戦、カップ戦、天皇杯、ACLと全タイトルを獲り、常勝チームとしての歴史を歩み始めている。'05年、リーグ初優勝を果たしたシーズンからは勝利とエンターテイメント性の両輪を軸とするポゼッション・サッカーに磨きを掛け、貪欲にタイトルを狙ってきた。'08年、クラブW杯のマンチェスター・ユナイテッド戦では世界王者に一歩も引かないどつき合いを見せ、多くのファンを魅了し、ガンバの方向性が間違っていなかったことを世界に周知させた。それでも、“伝統”には手が届いていない。

 西野政権は、今季で9シーズン目に突入し、そのスタイルは着実に定着してきている。小笠原満男が昨年鹿島で見せたようなリーダーシップを遠藤保仁が発揮し、より完成度の高い攻撃的サッカーを披露し、多くのタイトルを獲れれば……。結果が自信の拠り所となり、その足跡はガンバの伝統の礎となっていくはずだ。

<次ページに続く>

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