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ウオッカはどうなる?
今秋の天皇賞予想。
~ドバイW杯行きも見えた!?~ 

text by

片山良三

片山良三Ryozo Katayama

PROFILE

photograph byYuji Takahashi

posted2009/10/31 07:00

ウオッカはどうなる?今秋の天皇賞予想。~ドバイW杯行きも見えた!?~<Number Web> photograph by Yuji Takahashi

緊張のレース展開に盛り上がった昨秋の天皇賞。今年はどうなるか

 いよいよ佳境に突入した秋競馬。11月1日には東京競馬場で「天皇賞・秋」(芝2000m、GI)が行われる。充実した古馬の戦いを力強く牽引するのは、今年もウオッカ(牝5歳、栗東・角居勝彦厩舎)か。武豊騎手がいつになく前向きだ。

武豊が感じている、ウオッカの底知れぬ進化。

「来年のドバイワールドカップは、賞金総額が10億円。独特のパワーが要るダートではなく、オールウェザートラックに変わることも決まりました。まるでウオッカのための衣替えという気がしませんか」と、壮大な夢を語っているのだ。

 ウオッカが来年も現役を続けるかどうかさえも正式には決まっていないのに、彼のキャラクターとは違う先走ったことを思わず口にしてしまったのは、底が見えない進化を続ける史上最高の名牝に心底ほれ込んでいるからだ。

 それだけに前哨戦の毎日王冠の2着敗退には誰よりも大きなショックを受けた。逃げるという策を選んだことに対する批判にもあえて反論はせずに、「だとしても勝たなくては。ウオッカが負ける姿をファンの皆さんにお見せすることだけはしたくなかった」と、唇をかむような表情で答えた。こんな武豊騎手は22年間のキャリアの中でも、ほとんど見たことがない。天才と言われた彼も、不惑を迎えたことで一敗の重みが違ってきているのかもしれない。

 しかし、視線はすでに前を向いている。「敗因は休み明けにあったと思う。追い切りはよく動いていたけど実戦とは違う。全体にまだ緩い感じがしたので、次はそこが必ず締まってくるはずです」と、天皇賞での巻き返しをきっぱりと宣言。

 角居調教師も、レース直後は「成長がないのかもしれない」と、ショッキングなことを言ったが、「負けたからこそできる工夫がありますからね」と、こちらも前向き。昨年、あのダイワスカーレットとの死闘に勝った舞台で、再度の美酒に酔いしれる可能性は十分過ぎるほどあるだろう。

カンパニー、オウケンブルースリらも上々の仕上がり。

 毎日王冠で単勝130円のウオッカを負かしてファンの悲鳴を誘ったカンパニー。8歳で重賞7勝目をあげた「おっさんヒール」だ。横山典騎手は「目標を1頭に絞った競馬をさせると、とんでもなく強い競馬をする馬。あの競馬はその特長が最大限に生かせたわけだけど、それにしたってウオッカを東京で負かすというのはなかなかできないことだからね」と、今度も悪役を買って出る構え。復活成ったマツリダゴッホに騎乗する選択もあったはずの同騎手だが、迷いなくカンパニーを指名して再度の金星を狙っている。

 復活といえば、オウケンブルースリもそうだ。昨年の菊花賞馬だが、その後は鼎の軽重を問われそうな戦いぶり。春シーズンを思い切って休ませたのが正解だったようで、京都大賞典は菊花賞で決めたマクリ戦法を炸裂させて快勝した。こちらの鞍上は、初の全国リーディングに向けて爆走中の内田博騎手で、調教師はカンパニーも手掛ける音無師という勢いのあるコンビだ。

 宝塚記念馬ドリームジャーニーも強い馬だが、東京コースに実績がないのがネック。陣営も「勝負はもう少し先」を匂わせる。それなら、まだ超トップとの対戦が少ないのが逆に不気味さを醸し出すキャプテントゥーレに注目。毎日王冠を叩くプランもあったが、そこは森調教師らしい機敏な采配で、「賞金加算がなくても天皇賞で除外になることはないことがわかったから」と回避。その通り、登録が出た時点で賞金順位は17位。無駄に力を使わなかったことが大一番で生きる可能性が出てきた。

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