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プロ野球交流戦開幕で一番得したのは巨人? 

text by

鷲田康

鷲田康Yasushi Washida

PROFILE

photograph byHideki Sugiyama

posted2005/05/26 00:00

 久々に球場に活気が戻ってきたように見えた。待望のセ・パ交流戦が5月6日にスタートした。約1カ月にわたってセ・パ両リーグの12チームがホームとビジターで各3試合、計6試合を戦うことになる。

 その交流戦の目玉と言われた新規参入の東北楽天と巨人が激突した仙台のフルキャストスタジアムに行ってきた。楽天ばかりか巨人までもが最下位を独走して最下位決定の“裏日本シリーズ”となったものの、球場には3連戦で5万7342人のファンが詰めかけた。東北はもともと巨人ファンが多い土地柄の上、誕生したばかりの地元チームとの試合ということで、スタンドは最後まで熱気に包まれ、野球人気の低迷が叫ばれる現状を、一瞬、忘れさせてくれるほどだった。

 「やっぱり組み合わせが多いほど楽しいですからね。そういう意味では交流戦は成功ですけど、チームとしては勝たなくちゃね。これからは中身が問題かな」。開幕からダントツで最下位を走り、チーム編成の問題点が浮き彫りになっている楽天。その中で地元開幕戦を上回る入場者数を記録したスタンドに、三木谷浩史オーナーは素直に喜べないが、という表情でこう語った。

 昨年の球界再編問題の落とし子ともいえる交流戦。もともと球団経営に行き詰ったパ・リーグが数年前からセ・リーグに実現を求めてきたが、巨人戦の放映権料という既得権益を守ろうとするセ・リーグ各球団の頑なな反対で実現には多くの年月がかかった。

 近鉄とオリックスの合併と楽天の誕生という中でようやく実現した新機軸は、確かに低迷する野球人気の刺激剤となっている。最初の3連戦での観客動員は、札幌ドームの日本ハム対阪神3回戦で3万152人、スカイマークスタジアムのオリックス対中日2回戦でも3万218人と今季最多を記録。その他の球場でも1試合約3000人程度の観客増につながっている。そしてこの久々の活況の裏で、最大の恩恵を受けるのは実は巨人と言えるかもしれない。

 「交流戦をやるとパ・リーグの各球団は巨人戦にエースを投入してくるから巨人は不利。だから断固反対だ!」と何とも手前勝手な理由で交流戦の実現を拒否してきたのは巨人の渡辺恒雄前オーナーだった。だが、いまやそんなことを言っていられないほど巨人のブランド力は低下。4月平均の中継視聴率は、過去最低の12.9%まで落ち込み、東京ドームの空席も目立った。だが、楽天との3試合の平均視聴率は14.9%(ビデオリサーチ調べ、東京地区)と4月平均から2ポイント上昇。特に6日の第1戦は17.3%と、久々にゴールデンタイムらしい数字を弾き出している。清武球団代表も「新しいものが求められているのがはっきりした。話題性は必要」と交流戦にかける期待を口にする。確かに相手チームがエース級の投手をぶつけて巨人叩きを行なってくる可能性はある。それでも巨人にとっては、まず大事なのはそのブランド力を維持することであり、その手段としての交流戦はなくてはならないソフトとなっているのも皮肉な話だ。

 「交流戦で3年は何とかなる」と語ったのはある巨人関係者だった。3年なのか、もっと短いのかは分からないが、ただ本質でファンの気持ちを引き付けられるようにならなければ、いずれはこの刺激剤も新鮮さを失い魅力を失うということだ。その間に何ができるのか? 問われるのはこれからである。

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