NumberEYESBACK NUMBER

左腕トリオを育てた尾花コーチの深慮遠謀。 

text by

永谷脩

永谷脩Osamu Nagatani

PROFILE

photograph by

posted2007/05/17 00:00

 巨人の投手陣が好調を維持している。

 開幕前は、エースの上原浩治が太もも痛、パウエルが右ひざ半月板の損傷と、計算の立つ投手2人の離脱で不安をささやかれていた。しかし、ペナントが始まってみると、4月30日時点で2・87とセ・リーグ一の防御率を誇り、チームも首位を走っている。その原動力となっているのが、高橋尚成、内海哲也、金刃憲人の左腕トリオだ。

 プロ野球で選手がチームでの地位やポジションを獲得するには3つのパターンがあるといわれている。

 ひとつは、首脳陣がその選手を将来のチームの柱として、最初からポジションを与えて育てていくケース。巨人の投手陣では、内海がこれにあたる。内海は入団時から、その才能を高く評価されて、先発として起用され、その期待に応えて、昨年12勝し、今季は開幕投手を務めるまでに育った。

 ふたつ目は、いくつかの役割をこなしながら、自分に合う活躍の場を見つけていくというパターン。これには高橋尚があてはまる。先発として活躍した高橋尚だったが、不調に陥り、昨年はクローザーをしたこともあった。今季は、その時の経験からゲームの流れを読めるようになり、4月だけで5勝を挙げるなど、完全復活。先発の軸となっている。

 最後は、故障者が出て、代役を任され、そのままそのポジションを掴むという形。金刃は、まさにこの例の代表だろう。もし上原とパウエルが健在だったら、ルーキーでいきなり先発ローテーションには食い込めなかったかもしれない。しかし、2人のいない間にしっかりと結果を残し、いまでは先発としての立場を確立している。

 そして、この3人の躍進を語る上で外せないのが、ソフトバンク時代に、やはり左腕の和田毅、杉内俊哉を育てた実績を持つ、尾花高夫投手コーチの存在だ。

 「故障者が出たら、それを嘆くよりも、与えられた戦力をいかに上手く使い分けるかが重要。巨人の投手陣はソフトバンクにも劣っていない」

 そういい続けてきた尾花は、この言葉通りに3人を育て上げたのである。左腕投手を育てるうえで、「左利きの人間のほうが物事を論理的に考えるから」と考え、「ボールのキレは利き手のトップの位置とフィニッシュの腕の振りで決まる」という持論を、理論的に左腕トリオに説明、納得させたことも大きかった。いまや、高橋尚、内海、金刃は、尾花に全幅の信頼を置いている。

<< BACK 1 2 NEXT >>
1/2ページ
関連キーワード
尾花高夫
読売ジャイアンツ

ページトップ