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トップリーグ6年目は、
充実の内容でスタート。 

text by

大友信彦

大友信彦Nobuhiko Otomo

PROFILE

photograph byShinsuke Ida

posted2008/09/25 00:00

 「夕方から雨」の予報が外れた9月5日、秩父宮ラグビー場には1万4901人が詰めかけた。昨季の開幕戦はおろか、プレーオフ決勝さえ上回る大観衆。翌6日、やはり「夕刻から激しい雨に注意」とされた大阪もスッキリと晴れあがり、長居スタジアムには1万1856人が集結。トップリーグは天候にも恵まれ、昨季のリーグ戦では皆無だった観客1万人超を開幕節から東西で実現した。

 そして、選手たちはファンの期待を裏切らなかった。

 開幕戦は、昨季のプレーオフを制したサントリーと日本選手権覇者・三洋電機の因縁対決。試合前に話題を独占したのは、世界最多キャップ記録139を持つ元豪州代表主将、サントリーに加入したグレーガン。世界一のキャリアはいきなり輝いた。前半13分、三洋SOブラウンの絶妙な逆足キックに瞬時に反応してダイレクトキャッチ。26分、ターンオーバーから無人のゴール前に蹴られると、必死に戻って2年連続トライ王の三洋WTB北川智規を追い詰めピンチを脱出。ピッチに立つ30人で最年長の35歳は、誰よりも早く危険なエリアを察知し、そこへ身体を運ぶ。そのたびにスタンドはどよめき、うなり声をあげた。

 しかし試合を制したのは三洋だった。サントリーは清宮克幸監督が「大人と子供くらいの差があった」と言い放つほどスクラムを優位に組んだが、いざ試合が動き出すと、地域も接点も支配したのは赤いジャージー。三洋は高温多湿、汗でボールが滑る条件の中、ブラウンの正確なキックで着実に前進してゲームを作った。

 今季の見所とされるのが13項目の試験的新ルール。とりわけスクラムのオフサイドラインが5m下がることは、ラグビーを根本から変えるとまで言われた。だが開幕節の戦いで影響したのはむしろ「密集戦では立ったプレーを徹底する」というレフェリング面の通達だ。自陣で積極的に仕掛けても、密集で倒れたと判定されれば即失点のピンチ。三洋はそのシビアな現実を試合中に察知し、冷静かつ迅速に対応した。昨季の日本選手権優勝は、王者に想像以上のしたたかさをもたらしたようだ。

 一方のサントリーは、終盤になってSH成田秀悦、SO曽我部佳憲、FBには7人制イングランド代表オドゥーザを投入。攻撃的にシフトチェンジしてスタジアムを熱狂させた。ボールをダイナミックに動かす攻撃スタイルへ昨季王者の変身は、今後もファンを沸かせるに違いない。

 忘れてならないのが世界のトライ王・大畑大介だ。大阪・長居で行われた神戸製鋼とNECの一戦、1年8カ月ぶりにトップリーグへ帰ってきた大畑は後半20分、相手FBヤコのパスをインターセプトするや猛ダッシュで50mを走り抜け、自ら復活祝いのトライをスコア。「スゴいですね、僕って。魅せるときは魅せます」と得意のビッグマウスも復活し、「世界記録を持ってる僕が国内のタイトルを獲ってないのもね」と、トライ王奪取も宣言した。

 この他、昨季は4連覇を逃した東芝も、新SOヒルのリードから広くボールを動かすスタイルに変身し、トヨタ自動車に完勝。九州では向井昭吾監督率いるコカ・コーラウエストが新加入の桑水流裕策のバネ、WTBステイプルトンの豪脚で九州電力との福岡ダービーに初勝利。各地で、新ルールのもとチャレンジしたチームが会心のスタートを切った。

 プレーオフ決勝は来年2月。トップリーグ6年目の頂点は、さらなる進化を続けたチームが掴むはずだ。

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