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NFL開幕。今季の注目は
本命イーグルスの“奇策”。 

text by

渡辺史敏

渡辺史敏Fumitoshi Watanabe

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photograph byGetty Images

posted2009/09/27 08:00

NFL開幕。今季の注目は本命イーグルスの“奇策”。<Number Web> photograph by Getty Images

 9月10日、プロ・フットボール・リーグNFLのシーズンが開幕した。来年2月7日に開催される第44回スーパーボウルに向けて早くも熱戦が繰り広げられている。

 今季、特に注目されているのは、NFC東地区のイーグルスである。昨年は強力な守備陣を武器にプレーオフ進出。'04年のスーパーボウル出場を含め、ここ10年でプレーオフ進出7回という強豪だが、同時にどうしてもスーパーボウル優勝に手が届かないあと一歩のチーム、というイメージも持たれている。

 そんなイーグルスは開幕を迎えるにあたり王座奪取への並々ならぬ意欲を見せた。徹底して行われたのが昨年リーグ5位の416点をあげながら、不安定で弱点とされていた攻撃陣の徹底した強化である。エースQBドノバン・マクナブを守る攻撃ラインには合計約1億ドルの契約でベテラン2人を獲得。さらにドラフトでも上位3つの指名を攻撃選手に使った。

監獄から復帰した“火中の栗”を拾う賭けに出た。

 しかし、優勝候補筆頭に挙げられるようになってもイーグルスの補強は終わらなかった。開幕まで1カ月となった8月13日、さらに大きな賭けに出る。元ファルコンズのQBマイケル・ビックと契約したのだ。

 ビックは強肩で脚も速く、驚異的な身体能力を誇るQBとして、'01年のドラフトで全体1位指名を受けファルコンズに入団。瞬く間に頭角を現しスターQBとなった。'06年にはQBとしては史上最高のラン1039ヤードを記録している。

 が、'07年に違法である闘犬行為への関与が判明し、動物虐待などの罪で23カ月収監されてしまう。今年7月に刑期を終え、リーグも無期限出場停止処分の解除を決定していたが、ブランクやイメージの悪さから契約しようというチームはなかなか現れなかった。当然火中の栗を拾うようなイーグルスの契約は、大きな驚きを周囲に与えることになった。

 しかもチームには不動のエース、マクナブがいる。果たしてビック加入は戦力アップになるだろうか。

 プレシーズンを見る限り、あくまで先発はマクナブのようだ。ただQBが攻撃ライン後方に位置するショットガン隊形を使うイーグルスの攻撃は、走ることを得意とするビックにはフィットしている。出場停止が解かれるのが第3週のため、システムを学ぶ時間もある。まずは信頼できる控えQBにはなれるだろう。さらにその走力を生かすため、マクナブとビックが同時にフィールドに立ち、パスのレシーバーとして起用されたり、誰がボールを持つかわからなくする奇襲隊形ワイルドキャットを用いる場面もありそうだ。アンディ・リード・ヘッドコーチも「あらゆることをやれるチームにしたい」と語り、期待を寄せている。

地元ファンも賛否真っ二つ。ビック加入は吉と出るか。

 ただビック加入の反発は予想以上に強い。アウェイでビックが登場すればブーイングの嵐になるのはもちろん、地元フィラデルフィアでも地元紙がウェブでアンケートを取ったところ、51%が獲得に反対と回答している。地元ファンすら二分という状態。イーグルスが優勝候補の一角を占めていることに変わりはないが、その影響がチームに及ぶ可能性は十分にある。

 イーグルスに対抗するのは同じ地区のジャイアンツ、AFCでは一昨年、全勝優勝まであと一歩のところまでいったペイトリオッツなどが挙げられる。来年2月、フロリダ州マイアミで頂点に立つチームは果たしてどこだろうか。

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