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人気回復のための切り札、交流戦は成功と言えるのか。 

text by

石田雄太

石田雄太Yuta Ishida

PROFILE

posted2005/07/07 00:00

 交流戦がおもしろかったという声があれほど聞こえてきたというのに、あまり景気のいい数字は出てこない。観客動員数はパ・リーグで約15%の伸びを見せたものの、セ・リーグでは約8%の減少。パの増収、セの減収という交流戦の収支は、“経営不振に喘ぎ続けたパの救済”という第一の目的は果たせたのかもしれないが、“プロ野球の人気凋落を食い止める起爆剤になってほしい”という第二の目的までは叶えられなかったことを窺わせる。

 何よりもショックだったのは、交流戦における巨人戦の視聴率が惨敗したことだろう。関東地区の平均視聴率はリーグ戦の4月平均が12.9%、交流戦に入ってからが12.2%(ともにビデオリサーチ調べ)。なんと、交流戦を中継したことで、逆に数字を下げてしまったのである。いったいどういうわけなのか。不思議に思って考えてみれば、なるほど、思い当たるフシはある。

 確かに、交流戦ならではの新鮮な対決や工夫を凝らした各球場の雰囲気を楽しんでいた熱心なファンの声も聞こえてきたが、意外に多かったのが、普段はあまり野球が話題に上ることのない、おそらくは「おもしろくねえ」と愚痴をこぼしながら地上波の巨人戦をなんとなく見続けてきた“サイレント・マジョリティ” の声だった。パの球団がよっぽど新鮮だったのか、名前しか知らない選手をテレビで初めて見たよ、ロッテの野球はおもしろいね、城島はメジャーでも十分やっていけるぞパの野球を見ていれば何を今さらということにいちいち反応し、妙に高ぶった声が聞こえてきたから、交流戦は成功したというイメージが刷り込まれてしまったのかもしれない。

 しかし現実に視聴率が下がっているのだから、巨人戦から離れてしまっていたファンをテレビの前に座らせることはできなかったということになる。今までも野球を見てくれていたファンを楽しませることはできても、新たなファンを開拓したり、離れていたファンを呼び戻すことまではできなかった。実はこれが、成功したと言われている交流戦のシビアな評価なのである。

 ただ、そもそも交流戦を起爆剤にしようなどという発想が甘すぎる。改革とやらの名の下に、何か新しいものを提供するためにやむなく取り入れた妥協の産物が交流戦であり、これが改革元年とやらの唯一無二の切り札だとしたらあまりに寂しい。新しいのは今年だけなのだ。観客動員数も収益も減らしたセの球団からは、早くも来年の交流戦は減らそうという私案さえ聞こえてくる。たった一つの改革さえ、全うできないのかと呆れてしまう。よりよくするための工夫をという甘言の中に潜む各球団の本音はしっかり見抜かなければならない。交流戦が終わった今、次の手はまだ見えていない。で、改革とやらは、これで終わりなのか。

 ドラフトはウエーバーなのか、FAの取得年数、トレードの活性化に伴う選手枠は見直すのか、プレーオフはセとパの足並みを揃えなくていいのか、球団数はこのままでいいのか、ファーム組織の拡充と地方都市へのエクスパンションは必要なのか、試合時間の短縮をどう図るのか、ワールド・ベースボール・クラシックへのスタンスはどうするのか──各球団の思惑や利害が対立していることは承知の上で、それでも今は、まず結論を出す、やってみる、ということが求められているのだ。交流戦の実施くらいで満足したような顔をされては、たまったもんじゃない。

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